主語がないメッセージを受け取った側が強いられるのは、作業の中断だけではない。心理的なストレスも膨大だ。
「聞き返したら怒られるのではないか」「自分の理解力が乏しいと思われるのではないか」という不安。そして、「恐らくあの件だろう」と推測で動いた結果、まったく別のプロジェクトだった場合の致命的な手戻りリスク。受け手は常に緊張状態を強いられる。
この「聞き返すコスト(確認コスト)」は、組織のあらゆる場面で静かに積み重なっている。あるIT企業の調査によれば、不明瞭な指示の再確認にかかる時間は、1社員あたり年間数十時間に達するという。単なる「言葉遣い」の問題が、経済的損失へと直結しているのだ。