「なぜ、女の子のロボットに『うんち』を突っつかせたのか?」――多くの読者やファンが長年抱いてきた素朴な疑問に対し、作者の鳥山明は生前のインタビューやエッセイでその意外な舞台裏を語っている。集英社の「週刊少年ジャンプ」で連載が始まった際、担当編集者とのアイデア出しのなかで「絶対に誰も描かない、子どもが一番喜ぶもの」を模索した結果、あえて最も下俗とされるモチーフが選ばれたという。
しかし、単に汚いものを描くだけでは読者に拒絶される。そこで考案されたのが、巻き貝のような可愛らしいフォルムと、ピンクや水色といったポップなパステルカラーでの配色だった。ロボットであるアラレにとって、それは衛生的な忌避対象ではなく、「物理的に興味深い未知の物体」に過ぎない。この純粋な好奇心が「枝でつつく」という行動を生んだ。型破りなSFコメディとしての本作を支えたのは、生々しさを完全に脱臭し、ポップアートへと昇華させる鳥山明ならではの圧倒的な造形センスだったのである。