まず押さえるべきは、『アラジン』には複数の映像作品が存在するという前提です。1992年のアニメ映画、その続編である『アラジン ジャファーの逆襲』『アラジンと盗賊の王』、テレビアニメシリーズ、そして2019年の実写版映画。これらすべてでジーニーの日本語吹き替えを担当してきたのが、声優・タレントとして知られる山寺宏一です。
山寺宏一は1961年生まれ。俳優としての活動を経て声優に転じ、『攻殻機動隊』のトグサ、『カウボーイビバップ』のスパイク・スピーゲル、『ドラえもん』のスネ夫の代役など、幅広い役柄をこなしてきました。その経歴の中でジーニーは、彼の「陽性でアドリブの効く演技力」を最もよく示す役柄の一つとされています。報道各社のインタビューでも、山寺自身が「ジーニーは自由に演じられるから楽しい」という趣旨の発言を繰り返しており、この役が彼の代表作の一つであることは疑いようがありません。
一方、2019年の実写版『アラジン』では、ハリウッド版でウィル・スミスがジーニーを演じました。日本語吹き替え版では、ウィル・スミスの声をそのまま使うのではなく、日本語版独自のキャストが起用されるのが通例です。ここで制作サイドは、山寺宏一を続投させるという決断を下します。この判断は「アニメ版のイメージを壊さない」という意図があったとされ、公式の制作発表でも「日本で長年親しまれてきたジーニーの声を維持する」という趣旨の説明がなされました。