「凹」という文字の起源は古く、物の形をそのまま写し取った象形文字(または指事文字)として誕生しました。甲骨文字や金文の時代から、土地の窪みや器のへこんだ形状を視覚的に表現する記号として用いられてきた歴史があります。
ここで興味深いのが、凹の部首は「凵(うけばこ・かんにょう)」という事実です。一見すると文字全体が枠組みのようであり、「どこが部首なのか?」と疑問を抱く方も少なくありません。伝統的な漢和辞典の編纂体系において、「凹」は下部を支える器の形である「凵(2画)」のグループに分類されてきました。
また、凹の読み方としては、音読みの「オウ」、訓読みの「へこ(む)」「くぼ(む)」が常用漢字表に掲げられています。日常会話では「凹凸(おうとつ)」「凹面鏡(おうめんきょう)」などの熟語で親しまれており、文字そのものが持つ視覚的な意味合いと音の響きが、何千年も変わらずに受け継がれている稀有な漢字といえます。