近年のボートレースは高速化が進み、1コースの1着率が全国平均で50%を超える「イン有利」の図式が定着しています。その潮流に真っ向から抗い、自らのスタイルを貫き通しているのが菅章哉選手です。スタンドのファンが展示航走のタイム発表でどよめき、オッズが大きく動く現象は、彼が出走するレースならではの名物となっています。
菅選手が選択するチルト角度は、場ごとの上限に応じて1.5度、2.0度、そして最大でチルト3度まで跳ね上げられます。チルト角度を上げると艇首が持ち上がり、水面との接地面積が減ることで直線スピード(伸び足)が劇的に向上する反面、ターン時の旋回性や出足が著しく犠牲になります。操縦難易度は極めて高く、並の選手であればターンマークで大きく外へ流れてしまいますが、菅選手は卓越したハンドルワークと的確なレバー操作で艇をねじ込みます。
2026年現在の斡旋情報や出走予定を見ても、チルト3度が使用可能な鳴門、下関、三国、児島などのレース場では、菅選手が6枠に入っただけで単勝・拡連複・まくり軸の舟券が一気に売れる現象が続いています。決まり手における「まくり」の比率はA1級の中でも突出しており、スリットを通過した瞬間から内側の艇を置き去りにする光景は、ボートレース本来の爽快感を象徴しています。