この革新的な玩具の誕生には、ドラマのような奇跡的な瞬間があった。1943年、第二次世界大戦中のアメリカでのことだ。海軍の造船技師であったリチャード・ジェームズは、艦船の計器を揺れから守るための支持用スプリングを研究していた。ある日、卓上のバネがひょんなことから床へ落下。すると、そのバネは倒れることなく、まるで自ら歩くかのように足元へとステップを踏みながら降りていったのだ。
「これは子供たちを夢中にさせる玩具になる!」と直感したジェームズは、妻のベティとともに改良を重ねた。適切な張力とコイルの厚みをミリ単位で調整し、1945年にジェームズ・インダストリーズを設立。フィラデルフィアのデパートで実演販売を行うと、用意した90円相当の400個のバネは、わずか90分で完完売したという。世界の玩具産業の歴史に刻まれる伝説の始まりであった。