あの一撃がすべてを変えた。跳ね回るアナに追いつけず、エルサが放った氷の魔力がアナの側頭部を直撃する。青白く染まる前髪と冷え切る体。両親である国王夫妻が頼ったのは、古代の知恵を持つトロールの長、パビーだった。
パビーの下した決断は冷徹だ。「頭の傷でよかった。心臓なら救えなかった」。そして彼は、アナの頭から「エルサが魔法を使える」という核心的な記憶を消し去り、ただ姉と雪遊びを楽しんだという無害な記憶へと改変した。この処置は命を救うための緊急避難だったが、同時に姉妹の間に深い断絶を生む。アナはなぜ大好きな姉が部屋に閉じこもり、自分を拒絶するのか理由を一切知らされないまま、思春期を迎えることになった。