安治川親方が掲げる指導方針は、伝統的な相撲界の慣習に科学的なアプローチを融合させた極めて合理的なものです。自らが両膝の故障に苦しんだ経験から、闇雲に番数をこなすだけの猛稽古を排し、「怪我を予防する可動域の拡大」「体幹強化」「映像を用いた客観的なフォーム分析」を指導の柱に据えています。
稽古場にはタブレット端末が常備され、取り直し直後に力士自身が自らの重心のブレや踏み込みの角度を映像で確認する光景は、安治川部屋ならではの日常です。この近代的な育成メソッドは、早くも安治川部屋の所属力士たちの目覚ましい成長という形で結実しています。
代表格として角界の熱い視線を集めているのが、ウクライナ出身の安青錦(あおにしき)です。戦火を逃れて来日し、親方の情熱に打たれて入門した安青錦は、親方直伝の低い立ち合いと緻密な技能相撲を受け継ぎ、序ノ口デビューから圧倒的なスピードで番付を駆け上がりました。その他にも個性豊かな若手力士が着実に力をつけており、創設からわずかな期間で関取誕生を現実のものとする育成スピードは、相撲関係者を驚嘆させています。