安田慶祐氏が政財界やスポーツ界の関係者に取り入る最大の武器となったのが、「安田財閥の創始者・安田善次郎の直系・末裔」という触れ込みでした。みずほフィナンシャルグループや明治安田生命、東京海上日動などの礎を築いた日本屈指のメガ財閥の名脈を引いているという看板は、初対面の相手を信用させるには十分すぎる威力を誇っていました。
しかし、週刊現代やマネー現代などの調査報道機関が旧安田家関係者や家系図を精査したところ、公式な系図の中に安田慶祐氏に該当する直系の血脈は確認できないという疑義が浮上しました。安田善次郎の一族は近代日本経済史において極めて厳格に記録・管理されており、分家や姻戚を含めても氏の存在を立証する客観的資料は提示されていません。
取材に応じた実業関係者の証言によると、「本人は親族の集まりや歴史的エピソードを淀みなく語り、誰もが疑う余地を持たなかった」とされています。血統という検証が困難な個人的属性を巧みに用いたブランディング戦略であった疑いが濃く、名門の名を借りた権威づけの手法には各方面から厳しい批判が浴びせられています。