2000年代後半から2010年代にかけて、日本国内における氷上競技への注目度はかつてないピークを迎えていた。その中心にいたのが、圧倒的な勝負強さと華やかさを兼ね備えたトップスケーターたちだ。しかし、人気の上昇と引き換えに押し寄せたのが、容赦のない芸能ジャーナリズムの波である。
プライベートの隠撮や根拠のない噂話が連日メディアを賑わせた。選手たちが練習に専念すべき拠点にまで張り込みが行われ、家族や関係者への執拗なマイク攻めが常態化する。競技だけに没頭したい若きアスリートにとって、この過剰な取材攻勢が精神的な重圧となったことは疑いようもない。氷上の美しさを伝えるべきメディアが、いつしかプライベートの切り売りを競い合う歪んだ構造が形成されていた。