振り返れば、彼女の行動原理は常に「境界線を飛び越えること」にあった。夫が推進する政策に対しても公然と異論を唱え、自らを「家庭内野党」と位置づけた日々。その象徴とも言えるのが、東京・神田にオープンさせた居酒屋「UZU」だった。国産無農薬の食材と山口の地酒にこだわり、人と人が肩書を捨てて語り合える場を目指した試みは、当時の政界に大きな波紋を広げた。
「ファーストレディが居酒屋を経営するなど前代未聞だ」という批判に対し、彼女は信念を曲げなかった。食を通じた地方創生、農家への支援、そして何より多様な価値観が交わる交差点を作ること。UZUは単なる飲食店ではなく、彼女が思い描く小さな社会実験の場であったのだ。