本作がジャンルとして異彩を放つのは、甘酸っぱい青春ドラマの手触りと、予測不能なファンタジー・ロマンスのダイナミズムが完璧に融合している点にある。性別が変わるという非日常的な設定を通じて描かれるのは、誰しもが通る「自分は何者なのか」という根源的な問いだ。
友情が恋へと変質する瞬間の戸惑い、同性であるがゆえの距離感、異性になったからこそ見えてくる世界の理不尽さ。記号化されたラブコメディとは一線を画す、ヒリヒリとしたエモーションが画面いっぱいに広がる。観客は彼らの瑞々しい痛みに寄り添いながら、いつしか自分自身の青春の記憶をスクリーンに重ね合わせることになるだろう。