2026年6月、タイ政府は大麻を麻薬リストのカテゴリー5から除外しました。これにより、バンコクのカオサン通りやスクンビット、プーケットなどの主要観光地には数千軒規模のディスペンサリー(大麻販売店)が乱立し、外国人観光客が気軽に購入できる環境が出現しました。
しかし、この急激な変化は国内で深刻な社会問題を引き起こしました。タイ保健省が再規制へと舵を切った背景には、以下の決定的な要因が存在します。
- 法整備なき解禁による混乱:包括的な大麻取締法が未成立のまま非犯罪化が先行したため、未成年への販売や公共の場での乱用が野放し状態となった。
- 健康被害と若年層への悪影響:若者の大麻依存症や精神疾患による救急搬送が急増し、保護者や教育現場から強い反発が噴出した。
- 政治情勢の変化:政権交代に伴い、「大麻産業による経済振興」から「公衆衛生の保護と国際信認の回復」へと国家方針が大きくシフトした。
現在のタイでは、「医療・健康増進目的のみに限定し、娯楽目的(嗜好用)の消費は違法」とする方針が法制化されています。無許可の販売店は摘発の対象となり、公共スペースでの喫煙行為には最大2万5,000バーツ(約10万円以上)の罰則や拘禁刑が科されます。一時の「大麻フリーな観光天国」というイメージで渡航すると、重大な法的トラブルに巻き込まれる現実を理解しなければなりません。