彼女の音楽史を語る上で、アレンジャー・島田昌典の存在は外せない。平成のJ-POP史に燦然と輝く名曲「カブトムシ」をはじめ、数々の代表作で感情の機微を劇的に彩ってきた名タッグは、彼女が結婚を経た現在もなお進化の歩みを止めていない。
かつては報われない恋や別れの痛みを鋭く切り取っていたメロディに、包容力と人生の陰影が重なるようになった。島田昌典が紡ぐストリングスやピアノの有機的な響きは、生活の手触りを知った彼女のボーカルと溶け合い、これまでにない豊かなグラデーションを生み出している。痛快なリアリズムと叙情詩の融合は、熟成の域に達した。