SNSの投稿や街中で頻繁に見かける「ドッグスリングから愛犬の頭を出した状態での乗車」や「キャリーバッグのファスナーを少し開けて顔を見せる行為」は、すべての鉄道会社で明確な規則違反である。
各社の運送約款では、「他のお客様に不快感や危害を及ぼすおそれがないよう、頭部を含む全身が完全に隠れる構造のケース」に入れることが絶対条件とされている。メッシュ部分から外が見えるバッグであっても、ファスナーが完全に閉まっていれば問題ないが、巾着タイプやスリングのように犬の体の一部が露出するものは改札を通過することすらできない。
なぜここまで厳格に犬の顔出し禁止が徹底されているのか。その背景には3つの合理的理由がある。
- 動物アレルギーを持つ乗客への配慮:閉鎖された車内空間において、犬の被毛やフケが飛散すると、重篤なアレルギー発作を引き起こすリスクがある。
- 咬傷事故および不意の脱走防止:急停車時の揺れや大きな物音に驚いた犬がパニックを起こし、隣の乗客を噛んだり、開いたドアから線路内へ飛び出したりする事故を防ぐため。
- 犬嫌い・恐怖心を持つ乗客への安心感:犬が苦手な人にとっては、小型犬であっても同じ車両内で視線が合ったり鼻先が近づいたりするだけで強いストレスとなる。
また、近年普及しているペットカート(バギー)の扱いにも注意が必要だ。カート本体のサイズ(車輪やハンドルを含む)が規定の「3辺合計120cm以内」を超える場合、そのまま改札を通ることはできない。JRを含む大半の鉄道会社では、「キャリーコット(バッグ部分)を取り外して密閉ケージとして持ち込み、フレーム部分は折りたたむ」ことが持ち込みの必須条件となっている。バッグとカートが一体型で分離できないタイプは、規定サイズオーバーとして乗車を断られるケースが多いため、購入時・乗車前の仕様確認が欠かせない。