テキストだけで表情や情景を描き出す文化は、日本のインターネット黎明期から連綿と受け継がれてきた。その最大の実験場となったのが、巨大掲示板の5ちゃんねるだ。
かつてテキスト掲示板では、限定されたフォントと半角カナ、記号を極限まで組み合わせてキャラクターを描くアスキーアート・顔文字が花開いた。「(゚∀゚)アヒャ」に代表される顔文字は、当時のスレッドで煽りやネタ投稿の文脈において爆発的な流行を見せた。簡素な文字列でありながら、驚くほど雄弁に感情を物語る技術は、ここで確立されたと言っていい。
時代が下り、表示環境がPCからスマートフォンへと移行しても、この文化は死絶しなかった。むしろ特殊なUnicode文字の普及によって、より複雑で崩れた表情が作れるようになり、表現の幅は格段に広がったのである。