阿藤快さんといえば、誰もが真っ先に思い浮かべるのが柔和な笑顔とともにつぶやかれる名言「なんだかなぁ」です。このフレーズはお茶の間を和ませるギャグのように定着しましたが、もともとはテレビ東京系『出没!アド街ック天国』や日本テレビ系『ぶらり途中下車の旅』の現場で自然発生的に紡ぎ出されたものでした。
旅番組やグルメレポートの現場において、阿藤快さんは予定調和を徹底して嫌う演者でした。紹介された料理が予想外の味覚だったり、取材先で予期せぬアクシデントに見舞われたりした際、相手を傷つけず、かつ視聴者の疑問を代弁するクッション言葉として口から出たのが「なんだかなぁ」でした。相手の不手際を糾弾するのではなく、困惑をユーモアで包み込む絶妙なニュアンスは、阿藤快さんの温厚で誠実な人柄そのものでした。
のちにものまねタレントの原口あきまささんがデフォルメして披露したことでブームは過熱しましたが、本人は嫌がるどころか「原口くんのおかげで若い子にも名前を覚えてもらえたよ」と快く公認し、バラエティ番組での共演を大いに楽しんでいました。威張ることのない器の大きさと、取材先の町工場や食堂の店主と同じ目線で語り合う姿勢こそが、阿藤快さんを単なるタレントではなく国民的レポーターたらしめた最大の理由です。