巨人における「Aクラス入り」は、ただの最低ラインに過ぎない。ペナントレースを制し、日本シリーズの頂点に立つことだけが唯一の正解とされる世界だ。就任1年目のリーグ優勝、そして2年目の苦杯を経て迎えた2026年。阿部監督の眼差しから迷いは消え去っていた。
かつて名捕手としてグラウンド全体を支配した洞察力は、いまやベンチからの采配にそのまま還元されている。選手一人ひとりの心理状態をミリ単位で見極め、勝負所と見れば躊躇なく動く。時に非情とも思える采配の裏にあるのは、「球団の歴史を背負う」という強烈な当事者意識に他ならない。