100年以上前、市場の裏側で動いていた巨大な資金と権力のネットワークを無視して、この歴史的事件を語ることはできない。シベリア出兵に伴う兵糧米の買い集めは、米穀市場に強烈な需要ショックを与えた。この需要を商機と捉えた地主や大商人たちは、倉庫に米を抱え込み、市場に出回る量を意図的に絞り込んだのである。
とりわけ庶民の怒りの矛先となったのが、巨大商社の代表格であった鈴木商店だった。神戸の鈴木商店本社が焼き打ちに遭った衝撃的なニュースは、当時の民衆がどれほど「一部の資本家による買い占め」に怒りを募らせていたかを物語る。富の不均衡と不透明な流通網に対する鬱積した怒りが、一気に過激な行動へと転化したのだった。