取締りの基準値や手続きに関しても、現場の運用とネット上の都市伝説の間には大きな乖離が見受けられます。正しく法制度と実務フローを把握しておく必要があります。
第一の疑問である「オービスは何キロオーバーで光るのか」という点について、旧来の固定式LHシステム等の運用基準は、原則として一発免停となる赤切符事案(一般道路で30km/h以上、高速道路で40km/h以上)に設定されているというのが実務上の定説でした。これは肖像権侵害を巡る過去の最高裁判例(憲法13条に関わる昭和44年の判決基準)を踏まえ、重大な違反行為に限定して無人自動撮影の適法性を担保してきたためです。
しかし、近年の生活道路に投入される可搬式オービスはこの限りではありません。通学路や「ゾーン30」など最高速度が30km/hに制限されたエリアでは、15km/h〜20km/h程度の超過であっても警告・取締り対象となり、青切符(反則金制度)の範囲内であっても装置が作動・撮影される実例が警察庁の運用方針により確認されています。「30km/h未満だから光らない」という古い安全神話は完全に過去のものです。
第二に、「オービスの通知はいつ届くのか」「出頭通知書が届くまでの期間」という時間軸のリアリティです。撮影された画像データは警察の交通管制拠点へ送られ、ナンバー照会、車両名義人の特定、顔写真と運転免許証のマスターデータの精査が行われます。この作業工程を経るため、郵送物は以下のスケジュールで動きます。
【呼出通知書が届くまでの標準タイムライン】
・通常処理:違反発生から約1週間〜3週間(最も多い期間)
・遅延ケース:約1ヶ月〜2ヶ月(レンタカーや社用車で名義照会に時間を要する場合、または警察署の処理件数が繁忙を極めている場合)
・3ヶ月以上の経過:不立証・不鮮明による不送致の可能性大(ナンバーや顔写真がブレていて本人特定に至らなかったケースなど)