キャリアの成熟期において、世代や性別を超えて広く愛された名曲が「HERO」だ。2016年のリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックの放送テーマソングとして書き下ろされたこの楽曲は、アスリートたちの闘いと重なり合い、日本中を深い感動で包み込んだ。
2017年9月、突然発表された「1年後の引退宣言」は日本中に激震を走らせた。同年の大晦日、特別企画歌手として出場した『NHK紅白歌合戦』のステージは、今も伝説として語り継がれている。真っ白な衣装に身を包み、万感を込めて「HERO」を歌い上げた彼女の瞳には光るものがあった。
過度な湿っぽさを排除し、最高のパフォーマンスを維持したままマイクを置く姿は、平成という時代を美しく締めくくる象徴的な出来事となった。頂点を極めたまま退く美学は、多くの人々の記憶に深く刻まれている。