では、具体的にどのように撮影すれば、あの独特な感情に訴えかける質感を再現できるのだろうか。プロの現場で密かに使われている裏技とエフェクト設定をここで明かそう。鍵を握るのは「光の捉え方」と「あえて崩すパラメータ設定」だ。
まずカメラ側の設定では、シャープネスを下げ、露出をわずかにオーバーまたはアンダーに振るのが基本テクニックだ。ハイライトの白飛びを恐れず、夕暮れ時の「マジックアワー」の逆光をレンズに直接滑り込ませることで、ドラマチックなレンズフレアやハレーションを生み出すことができる。レンズのフチにクリスタルガラスやプリズムをかざし、光の屈折を人工的に作る裏技も効果的だ。
デジタル一眼やコンデジでフィルムの質感を追い求めるなら、機材選びも重要な要素となる。特にFUJIFILM X100Vに代表される独自のフィルムシミュレーション機能を備えた機材は、撮影の段階で「クラシッククローム」や「クラシックネガ」といった深みのある色調を選択できるため、後加工に頼らずともシャッターを切った瞬間に理想のトーンが手に入る。シャドウ部をほのかに浮かせ、トーンカーブの黒をほんの少しグレー寄りに持ち上げる設定が、切なさを引き出す黄金比だ。