日ハム撤退後の巨大な穴を埋める切り札として、札幌ドームが約10億円の公金を投じて導入したのが「新モード」でした。これは巨大な暗幕でスタンドを仕切り、キャパシティを約2万人規模に縮小することで、中規模コンサートやイベントを誘致しやすくするという構想でした。しかし、この設備投資は開業直後から厳しい批判に晒されることになります。
最大の誤算は、アーティストやプロモーター側のニーズを完全に見誤っていた点です。新モードを利用しても設営費や基本使用料は割高なままであり、音響面や演出上の制約も多く、興行主側から見れば「わざわざ札幌ドームを縮小して使うメリットがない」という判断が下されました。結果として年間の稼働日数は目標を大幅に下回り、市民からは「10億円の巨大な黒いカーテン」「無駄遣いの極み」と猛烈な批判を浴びました。
さらに追い打ちをかけたのが全国的なコンサートツアーの札幌飛ばし現象です。機材輸送コストの高騰やアーティスト側の動員戦略の変化、さらには音楽フェスや他会場へのシフトが進んだことで、ドーム規模のメガイベントの誘致数は激減。日ハムという年間60試合以上の安定した稼働柱を失ったドームの空洞化は、想像以上のスピードで加速していきました。