「針仕事が極端に苦手」「細かい編み目をすくう自信がない」という層から熱烈な支持を集めているのが、ニットの穴あき補修を縫わないで行う裏ワザです。かつては衣類の穴といえば共糸を探してかがり縫いをするのが常識でしたが、現在は繊維の絡まりを利用した熱接着技術が進化し、驚くほど手軽に穴を塞げるようになりました。
その代表格が、ダイソーやセリアなどの100均でも手軽に入手できるセーターの虫食い穴向け補修シートや衣類用接着テープです。これはクモの巣状の極薄樹脂フィルムでできており、ニットの裏側に当ててアイロンのスチーム熱を加えることで、周囲の繊維を溶着させて穴を物理的に閉じます。
特にウールや混紡素材の小さな虫食い穴であれば、ウールニットの穴あきに接着フェルトを小さくちぎって詰め、上からスチームを当てる「フェルト化接着」も現場で話題の手法です。羊毛繊維が熱と水分、摩擦によって絡み合う性質を応用したもので、接着剤特有のゴワつきが出にくく、自然な風合いを保ちやすいメリットがあります。
ただし、どんな穴でも縫わずに直せるわけではありません。直径3ミリを超える大きな穴や、テンションが激しくかかる肘・脇下の補修には不向きです。接着面積が足りずに着用時の伸縮で再び穴が開いたり、接着剤が表にしみ出てテカリの原因になったりするリスクも孕んでいます。手軽さの裏にある限界値を正しく把握しておく必要があります。