物語の起点となった西大阪スチールへの5億円融資。十分な審査を行わずに独断で融資を実行し、その焦りつきの責任をすべて主人公の半沢に擦り付けようとしたプロットは、今見返しても背筋が凍るリアリティがある。上司の手柄は部下のもの、部下のミスは上司の責任――この逆転現象がドラマの中で極限まで描かれた。
バブル期の入行組としてエリート街道を歩んできた人間が、一度の失敗でキャリアが終わる恐怖。その恐怖が人を狂わせ、隠蔽と工作に走らせるプロセスは、フィクションでありながら多くのサラリーマンが「明日は我が身」と感じる生々しさを持っていた。