同物同治の読み方は「どうぶつどうじ」(文献によっては「どうぶつどうち」とも呼称)であり、中医学や漢方の食養生における中核概念の一つです。その基本となる意味は、「人間の体の中で弱っている、あるいは病んでいる部分と同じ動物の部位を食べることで、その部位の働きを高め、治癒を促す」というものにあります。
この発想のルーツは古代中国の伝統医学にさかのぼります。漢方理論では「以臓補臓(いぞうほぞう)」や「以形補形(いけいほけい)」という四字熟語で体系化されてきました。「心(しん)が弱れば動物の心臓を」「肝(かん)が弱れば動物の肝臓を」「骨がもろくなれば骨髄を」食すことで、失われたエネルギー(気・血・水)や構成要素をダイレクトに補填できると考えたのです。
中国最古の薬物書『神農本草経』や明代の医学大成『本草綱目』を紐解くと、多種多様な動物性生薬や内臓肉が治療食として記載されています。自然界に存在する生命体と人間の構造は密接に呼応しているという「天人合一(てんじんごういつ)」思想に基づき、数千年の臨床観察を積み重ねて編み出された生活の知恵でした。