将棋界は長い歴史と礼節を重んじる世界であり、従来の棋士像から見ればコスプレへの本格進出は異例中の異例でした。それでも香川愛生が一歩を踏み出した背景には、幼少期からの純粋なオタクカルチャーへの愛と、業界の未来を見据えた明確なビジョンがあります。
もともとゲームや漫画が大好物だった香川は、かつて自身の趣味を表に出すことを躊躇していた時期もありました。しかし「大好きな作品の魅力を自分なりに全力で表現したい」という情熱に加え、「従来の将棋ファン層とは異なる若い世代やゲームファンに、将棋という競技を知ってもらうきっかけを作りたい」という切実な想いが挑戦の引き金となりました。
格式高い伝統文化の担い手である女流棋士が、サブカルチャーの最前線に飛び込むこと自体が大きな挑戦でした。しかし彼女は逃げ隠れすることなく堂々と好きを発信することで、新しい時代の棋士像を切り拓きました。