なぜ人々は、何十年も前のアイドルの噂話に今なお惹きつけられるのか。そこには日本のエンターテインメント史における「未解決のミステリー」を楽しむ文化心理が働いている。昭和のアイドル文化は、素顔を隠した「神秘性」と、メディアが暴こうとする「暴露性」の緊張関係の上に成り立っていた。
情報が溢れ返る現代と異なり、当時は限定された写真や数分間のテレビ出演だけがファンとの接点だった。それ故に、一枚のチラリと映った写真や一枚の影が、人々の妄想を掻き立て、巨大な神話へと成長した。山口百恵という稀代のスターは、その神話化のプロセスが最も完璧に機能した事例なのだ。