エプスタインの単独犯行では決して成し得なかったこの大規模なネットワークにおいて、決定的な役割を果たしたのが元交際相手のギレーヌ・マクスウェルである。英国のメディア王ロバート・マクスウェルの娘として培った上流階級のコネクションを武器に、彼女は社交界とエプスタインをつなぐ架け橋となり、同時に少女たちを言葉巧みに勧誘・手なづけるグルーミング役を担った。
マクスウェルがもたらした人脈の象徴が、英王室のアンドルー王子だった。被害者女性のひとりであるバージニア・ジュフリー氏による民事訴訟と告発は、英王室を前代未聞の危機に陥れた。王子はBBCの単独インタビューで疑惑を全面否定したものの、その不自然な弁明は世論の猛反発を招き、最終的に巨額の和解金を支払う形で公務からの永久引退と軍の名誉称号返上へ追い込まれた。王室の威信を失墜させたこの一件は、エプスタインのスキャンダルが国家の象徴すら揺るがす破壊力を持つことを証明した。