着物産業は長らく衰退の一途を辿ってきた。1975年には年間約2600万反だった生産量が、2020年には約100万反まで減少。しかし2018年頃から風向きが変わり始める。
転機となったのは、若手デザイナーたちによる大胆な再解釈だ。2019年、京都の老舗呉服店「やまと」が発表した「Y. & SONS」ラインは、デニム素材の着物を提案し業界に衝撃を与えた。洗濯機で洗える。価格は従来の10分の1。着付けは5分で完了する。
「着物は特別な日に着るもの」という固定観念が崩れた。ファッションデザイナーの廣川玉枝氏は、2020年のインタビューで「着物を日常に戻すことが私たちの使命」と語っている。彼女が手がける「ソメモノヤ」では、Tシャツ感覚で着られる木綿着物が人気を集める。
Z世代が牽引する着物ルネサンス
Instagram、TikTokといったビジュアル重視のSNSが着物人気を加速させた。ハッシュタグ「#モダン着物」の投稿数は2023年以降、年間30%以上のペースで増加している。
22歳のインフルエンサー、中村美咲さんはフォロワー85万人を抱える。彼女の投稿の特徴は、着物にスニーカーやキャップを合わせる「ストリート着物」スタイルだ。「祖母の古い着物をリメイクして着ています。サステナブルだし、誰とも被らない」と中村さんは言う。