「マッサージを毎日欠かさず続けていたら、団子鼻が小さくなるどころか、以前より皮膚が分厚くなってボテッとした印象になった」――美容外科のカウンセリングルームでは、こうした切実な相談が定期的に寄せられています。自力で整形なしで鼻を小さくするという触れ込みのケアが、なぜ皮肉にも逆の結果を招いてしまうのでしょうか。
鼻の構造を解剖学的に分解すると、上部の硬い「鼻骨」、下半分から鼻先・小鼻を形成する柔軟な「外側鼻軟骨」や「大鼻翼軟骨」、そしてそれらを覆う皮下組織(脂肪・結合組織)と皮膚から成り立っています。日本美容外科学会(JSAPS)所属の形成外科医らの見解を総合すると、成人後の骨や軟骨は非常に安定した硬度と弾力を持っており、指先で揉む程度の外力で恒久的に縮んだり位置が変わったりすることはありません。
それにもかかわらず、ネット上で「鼻マッサージ逆効果」という警告が絶えない背景には、生体の防御反応が関係しています。
鼻先の皮膚や軟骨周辺組織は非常にデリケートです。指や器具でゴリゴリと強い刺激を加え続けると、皮膚組織は慢性的な摩擦ダメージを受けます。生体は外的な摩擦から身を守ろうとして角質を厚くし、皮下組織ではコラーゲン繊維が過剰に増殖する「線維化(皮膚の肥厚)」を起こします。さらに、毛細血管の拡張や炎症によって鼻全体が赤みを帯び、毛穴が開き、結果として豚鼻改善セルフケアどころか「以前より鼻先が丸く硬い団子鼻になる」という本末転倒な事態に陥るのです。
一方で、「マッサージ直後に鼻筋が通って見えた」という体験談が存在するのも事実です。ただし、これは軟骨が変形したのではなく、鼻周りの筋肉(上唇鼻翼挙筋や鼻根筋など)の過度な緊張がほぐれ、滞っていたリンパ液や静脈血が流れたことで生じる「一時的なむくみ解消」に過ぎません。夕方にむくんだ脚をマッサージすると一時的に細くなる現象と同じであり、半日から1日経てば元に戻る生理現象を「鼻が小さくなった」と錯覚しているケースが大半です。