日本のインテリジェンス・諜報活動は、諸外国と比べて極めて特異かつ歪な構造を抱えている。首相官邸直属の情報機関である内閣情報調査室(内調)や外務省、警察庁警備局、そして防衛省情報本部が、国家の安全保障のために連携するどころか、激しい縄張り争いを繰り広げてきた歴史がある。
内閣情報調査室が政策判断のための分析や海外情報の収集を進める一方で、現場で泥を被るヒューミント能力においては、非公認で動く自衛隊の裏部隊に依存せざるを得ない場面が存在した。しかし、公式な法的根拠を持たない部隊が集めた情報は、国家の正式なインテリジェンスサイクルに組み込むことが極めて難しい。現場のリスクと成果が国家戦略に直結しないという構造的欠陥が、日本の情報戦における長年の足枷となってきた。