ロックとクラシックの融合を掲げ、70年代の音楽シーンを席巻していたエレクトリック・ライト・オーケストラ。そのリーダーであり、全楽曲のソングライティングとプロデュースを手がけるジェフ・リンは、1977年、次なるアルバムの構想を練るためにスイス・アルプスを望むレマン湖畔の山荘へ籠もりました。
しかし、待ち受けていたのは過酷な現実でした。連日降り続く冷たい雨と濃い霧に視界を遮られ、部屋に閉じ込められたジェフ・リンは深刻なライターズ・ブロック(創作スランプ)に陥ります。2週間もの間、ピアノやギターに向き合っても一編のフレーズすら浮かばず、プレッシャーだけが重くのしかかっていました。
状況が一変したのは、ある朝のことです。ふとカーテンを開けると、それまでの暗雲が嘘のように晴れ渡り、息をのむような鮮やかな青空とアルプスの雄大な山並みが広がっていました。その圧倒的な光景に感情を激しく揺さぶられたジェフ・リンは、憑りつかれたようにペンを走らせます。わずか数日のうちに『ミスター・ブルースカイ』を含む14曲を一気に書き上げ、のちにロック史に燦然と輝く2枚組の名盤『アウト・オブ・ザ・ブルー』を完成させました。