ソニーが熊本エリアに対して数千億円規模の継続的な設備投資を実行し続ける最大の理由は、CMOSイメージセンサーの金額ベース世界シェア60%獲得という明確な経営目標にあります。現在も過半に近い圧倒的なトップシェアを握っていますが、競合である韓国サムスン電子などの追随を許さない盤石な地位を築くには、継続的な設備投資が欠かせません。
熊本が選ばれ続ける決定的な要因は、以下の3点に集約されます。
第一に、半導体製造に不可欠な阿蘇外輪山由来の清浄で豊富な地下水の存在です。微細加工を施すシリコンウエハーの洗浄工程には大量の超純水が必要であり、熊本の豊かな水資源は他に代えがたい強みです。
第二に、数十年にわたり培われてきた高度な半導体エンジニアと熟練オペレーターの集積です。クリーンルーム内での歩留まり向上や微細加工技術の蓄積は一朝一夕に作れるものではなく、熊本TECが誇る現場力が世界最高品質を支えています。
第三に、スマートフォンの複眼化・大判センサー化に加え、完全自動運転を見据えた車載センシング市場の急拡大です。人の目を超える安全性を実現するため、自動車1台あたりに搭載されるカメラの数は年々増加しており、高信頼性を担保できる熊本拠点の増強はソニーにとって死活問題となっています。