北大路欣也氏がこの「声優」という役に臨む姿勢は、並々ならぬものがあった。単なるバラエティ的な面白さに流されることなく、一人の厳格で愛のある父親としてセリフを発する。だからこそ、どれほどコミカルな場面であっても、声に嘘がなく、視聴者の心にストレートに響くのだ。
アフレコ現場での秘話として知られるのは、北大路氏が映像の中の犬の瞳をじっと見つめながら、その呼吸に合わせて声を吹き込んでいたというエピソードだ。犬の微細な耳の動きや視線の泳ぎに完璧に同調させる集中力は、まさにベテラン俳優ならではの真骨頂。声と映像が奇跡的な融合を果たした裏には、こうした妥協のない職人技が存在していた。