ストーリーの核心に関わる舞台設定として異彩を放つのが、地域住民の生活に深く根ざした生活協同組合(コープ)だ。一見すると平和な地域コミュニティの象徴である空間が、ひとたび事件が起きると密室的な人間模様と疑心暗鬼を生み出す舞台へと一変する。
新進気鋭の映像作家である浜中崇監督は、日常のすぐ隣に潜む歪みを鋭い観察眼で描くことに長けている。本作でも極上のサスペンス・スリラーとしての緊迫感を維持しながら、緻密に構成されたミステリードラマの要素を融合。身近な生活空間を悪夢的な緊張感で満たしていく演出手腕は、観客を翻弄し続けるだろう。