強健で知られるマキの木ですが、近年の温暖化や異常気象に伴い、突然の変色や集団枯死に直面する現場が増加しています。健全な育成のためには、イヌマキの育て方の基本と、致死的な害虫に対する警戒を怠ってはなりません。
まず、マキの木が枯れる原因として現場で頻繁に確認される物理的要因は以下の通りです。
- 土壌の水はけ不良と過湿による根腐れ:粘土質の土壌に植えられ、長雨で水が停滞すると根が酸欠を起こし、下葉から茶色く変色して落葉します。
- 植え付け時の深植え:幹の根元深くまで土を被せすぎると、呼吸不全を起こして徐々に樹勢が衰退します。
- 日照不足と内部の蒸れ:枝葉が過密になると内部に日光が届かず、内側の枝から枯れ上がっていきます。
しかし、近年それ以上に深刻な脅威となっているのがマキの木の病気と害虫駆除における特定害虫の爆発的発生です。特に西日本から関東以南へと生息域を拡大している「キオビエダシャク」は、マキの木に対する壊滅的な食害をもたらします。
キオビエダシャクの幼虫(黒地に黄色と橙色の帯を持つシャクトリムシ)は、驚異的なスピードでマキの葉を食い尽くし、放置すれば大木であってもわずか数週間で完全に丸坊主にされ、光合成不能に陥って枯死に至ります。5月〜11月にかけて複数回発生するため、成虫の飛来や新芽の食害を発見した段階で、速やかにペルメトリン水和剤やスミチオン乳剤などの適用殺虫剤を散布することが不可欠です。
また、風通しが悪い環境では「マキケツムリ」による新芽の萎縮や、カイガラムシの排泄物にカビが発生する「すす病」を誘発します。日頃から透かし剪定によって風通しを確保することが、最大の病虫害予防策となります。