杉野遥亮の生い立ちを語る上で欠かせないのが、知性派としてのバックボーンと、それを自ら手放して夢に懸けた「大学中退」のドラマです。彼の出身高校は、千葉県内でも屈指の進学校として知られる千葉県立佐倉高等学校です。同校は偏差値70超を誇り、名立たる文化人や政治家、実業家を輩出してきた伝統校です。杉野遥亮は文武両道の環境の中で高校時代をバスケットボールに打ち込みながら過ごし、現役で法政大学(工学部系・デザイン工学部など)へ進学しました。
一見すると順風満帆なエリートコースを歩んでいた彼が、なぜ大学を中退するという大きな選択に踏み切ったのでしょうか。当時の雑誌インタビューや特別番組での告白によると、大学進学そのものが「周囲の進学校の空気感に合わせて選んだ、目的意識の希薄な選択だった」という強い葛藤が根底にありました。講義を受け、将来を思い描く中で、「自分は本当にこの道に進みたいのだろうか」「敷かれたレールの上を惰性で歩いていないか」という激しい違和感に苛まれていたといいます。
その空虚感を打破する契機となったのが、2015年、大学2年生の時に挑戦した「第12回FINEBOYS専属モデルオーディション」でした。ここで見事にグランプリを獲得した杉野遥亮は、芸能界という未知の世界に自らの可能性を見出します。しかし、学業と芸能活動の両立を図る器用な選択はあえて取りませんでした。中途半端な気持ちで大学に残ることは、自身の美学に反する――そう考えた彼は、両親の強い反対と向き合い、自らの意思を徹底的に説得した上で大学を中退しました。「退路を断ち、芝居の世界で生きていく」という覚悟を決めたこの瞬間こそが、現在の表現力豊かな俳優・杉野遥亮の原点となっています。