最も社会的な関心と懸念を集めたのが、異物混入ロットを接種した後の健康被害や死亡事例に関する医学的検証です。当時、対象ロット(Lot 3004734)の接種を受けた30代の男性2名(後に3人目の事例も報告)が接種後に亡くなられた事例が公表され、異物との関連性に強い注目が集まりました。
厚生労働省の副反応検討部会および専門医らによる詳細な病理学的・法医学的検証が行われました。その結果、以下の医学的知見と事実が報告されています。
- ステンレス(SUS316)の生体適合性:SUS316は心臓のステントや人工関節、外科用縫合針などにも常用される極めて安全性の高い医療用素材であり、微小金属が筋肉内に極微量注入されたとしても、即時的な全身性アレルギーショックや致死的不整脈を引き起こす可能性は極めて低い。
- 死因との因果関係:解剖結果および臨床経過の詳細な解析において、体内に侵入した異物による血管塞栓や直接的な組織障害の痕跡は認められず、基礎疾患や致死的不整脈、心筋炎など別の要因によるものと評価され、現時点でワクチン異物との直接的な因果関係は認められないと結論づけられました。
- 局所反応の経過:対象ロットを接種したその他の一般接種者においても、通常の筋肉注射に伴う局所疼痛や発熱以上の重篤な特異的健康被害の多発は確認されていません。
極めてセンシティブな問題であるからこそ、感情論を排した綿密な科学的検証が積み重ねられ、公的機関から客観的な分析結果が開示されました。