映画関係者や批評家がこぞって絶賛するのが、でんでんの演技力の評判の高さです。その真骨頂が白日の下に晒されたのが、2011年に公開された園子温監督の傑作スリラー『冷たい熱帯魚』でした。埼玉愛犬家連続殺人事件をモチーフにした本作で、でんでんは熱帯魚店を営む連続殺人鬼・村田幸雄役を演じました。親しみやすい笑顔で近づき、甲高い笑い声を上げながら相手を心理的に支配し、躊躇なく死体を解体していくその姿は、日本映画史に残る「最凶の怪演」と評されています。
同作において、でんでんは第35回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞や第54回ブルーリボン賞助演男優賞など、国内の主要な映画賞を総なめにしました。社会心理学でいうところの「マニピュレーター(人の心理を巧妙に操る者)」の冷徹さと、昭和の商店主のような人懐っこさを同時に立ち上げる離れ業は、元芸人ならではの卓越した人間観察力があってこその産物です。
テレビドラマにおける俳優でんでんの代表作一覧を語る上で欠かせないのが、天海祐希主演の大人気シリーズ『緊急取調室』です。でんでんが演じた菱本進(通称・菱やん)の役柄は、元マル暴の叩き上げ刑事。取調室での怒号を交えた揺さぶりや、時折見せる年長者としての包容力は、チーム「キントリ」の屋台骨として視聴者から絶大な支持を集めました。狂気と人情味の双方で頂点を極めている点こそ、でんでんの凄みなのです。