稀代のヒットメーカー・大石静が手掛けた脚本は、軽妙な掛け合いと胸を刺すシリアスな展開が高次元で融合している。特に、アドリブを交えた日常会話の自然さは、視聴者にまるで実在する夫婦の日常を覗き見ているかのような錯覚さえ抱かせた。
撮影現場からは、戸田とムロがカメラの回っていない場面でも役柄としての距離感を極めて大切に保っていたという切ない舞台裏の裏話が伝わっている。あまりに役に没入するあまり、病状が進行する終盤の撮影では現場全体が静まり返り、スタッフまでもが感極まって涙を流していたという。この妥協なき演技への執念こそが、名作を生み出した原動力だった。