清水翔太というアーティストの真価を語る上で外せないのが、リスナーの人生の節目に寄り添い続けるエバーグリーンなラブソング群です。特に2015年にリリースされた『花束のかわりにメロディーを』は、結婚式の定番ソングとしても定着し、サブスクリプションサービスのチャートでもロングヒットを記録し続けています。
この楽曲は、派手な装飾を削ぎ落としたピアノ主体の伴奏の上で、愛する人への不器用ながらも純真な誓いを歌い上げる究極の清水翔太バラード名曲です。手記やインタビューでも明かされている通り、「高価なプレゼントや飾った言葉ではなく、自分にできる唯一のこと=歌で愛を伝える」という愚直なまでの誠実さが、聴く者の涙腺を刺激します。サビにおけるファルセットと地声の滑らかな移行、ブレスひとつにまで感情を宿らせるボーカルコントロールは、まさに彼の真骨頂と言えます。
一方で、2016年のアルバム『PROUD』以降のサウンドシフトを決定づけたのが『My Boo』です。当時のUSヒップホップ/R&Bのトレンドであるトラップのビート感を取り入れながら、日本の若者のリアルな日常描写を落とし込んだこの曲は、SNSを中心に爆発的なバイラルヒットを記録しました。不器用な男性がパートナーへの愛着を素直に吐露するリリックは、従来のJ-POP的な「綺麗なお別れや切なさ」とは一線を画す、等身大のリアルな清水翔太ラブソングとして新世代のリスナーを熱狂させました。
そして原点であるデビュー曲『HOME』では、地元・大阪から単身上京した若き日の孤独と、遠く離れた家族や仲間への感謝が力強いゴスペル調のコーラスとともに響き渡ります。この3曲を辿るだけでも、彼が一貫して「嘘のない自己対話」を楽曲に落とし込んできた表現者であることが分かります。