不良少年を指す言葉として広く使われる「ツッパリ」と「ヤンキー」ですが、社会史の観点からはその発生起源とニュアンスに明確な違いが存在します。1970年代に全盛を極めた「ツッパリ」は、江戸言葉の「突っ張る(強情を張る、反抗する)」に由来し、革ジャンにリーゼント、ストレートジーンズといったロックンロール文化や、矢沢永吉率いるバンド「キャロル」の影響を強く受けた硬派なスタイルを指していました。
一方、1980年代に入り定着した「ヤンキー」は、大阪のミナミ・アメリカ村周辺をたむろしていた派手なアロハシャツや太いパンツを履いた若者を指すスラングから発祥したとされています。この呼称がやがて全国の中高生不良文化へと波及し、従来のストイックな硬派路線から、よりカラフルで誇張された自己主張のスタイルへと変化を遂げました。
この潮流と密接に結びついていたのが昭和暴走族の歴史です。1950年代の「カミナリ族」を源流とする集団走行文化は、1970年代半ばから1980年代初頭にかけて爆発的な拡大を見せました。警察庁が発表した『昭和57年(1982年)警察白書』の記録によると、全国の暴走族構成員数は4万2,511人、グループ数は754団体を数え、過去最多のピークを記録しています。当時の少年少女にとって、暴走族や地元の中学・高校を単位とする不良グループは、過酷な管理社会の中で自己の存在を誇示するための最も強烈な居場所となっていました。