発端は2019年5月、YouTubeチャンネル「A.I.Channel」に投稿された1本の動画でした。「キズナアイが4人いるって言ったら信じますか?」という問いかけとともに始まった「プロジェクト・プロミス」。ここから、オリジナルのキズナアイと同じ姿でありながら声やパーソナリティが異なる「2号(通称・キュート系)」「3号(通称・お姉さん系)」、そして中国語を話す「4号(中国版・紗河)」が次々と登場しました。
当時、運営会社であったActiv8(アクティベート株式会社)が企図したのは、「AIであるキズナアイの可能性を拡張し、多言語対応や24時間稼働を実現するスケーラビリティの確保」でした。人間離れした活動量を維持し、世界展開を加速させるための多重化戦略だったとされています。
しかし、この試みはファンの激しい拒絶反応を引き起こしました。最大の炎上理由は、「初期からキズナアイに魂を吹き込んできた初代(オリジナル)の出番が目に見えて減少し、説明もないまま別人へすり替えられるのではないか」という危機感です。動画の低評価率は一時80%を超え、中国の動画配信プラットフォーム「Bilibili」やYouTubeでのチャンネル登録解除が続出。運営側の「AIだから何人いてもキズナアイである」という理念先行の演出が、演者とファンの間に育まれていた情緒的な絆を無視する形となり、歴史的な炎上事件へと発展しました。