「全員集合」で一世を風靡した『ドリフの早口言葉』。実は超本格的なブラックミュージックだったという事実は、音楽関係者の間では語り草となっています。耳馴染みのあるイントロや骨太なベースラインには、志村さんが愛してやまなかった複数の洋楽名曲のエッセンスが緻密に組み込まれていました。
音楽評論家やDJ陣の分析によると、メインのベースリフやビート構造の元ネタとして最も有力視されているのが、アメリカのソウルシンガーであるウィルソン・ピケット(Wilson Pickett)の代表曲『Don't Knock My Love』(1971年)です。うねるような重低音のベースラインと乾いたカッティングギターのリズムパターンは、まさにこの楽曲のファンクネスを忠実に踏襲しています。
さらに、当時アメリカで産声を上げたばかりだった初期ヒップホップの金字塔、シュガーヒル・ギャング(The Sugarhill Gang)の『Rapper's Delight』(1979年)や、シック(Chic)の『Good Times』が持つディスコ・ラップの構造も大胆に取り入れられています。メロディを歌うのではなく、規則正しいビートの上でリズミカルに言葉をスピットしていくスタイルは、まさに「日本語ラップの極めて初期の商業的成功例」と言っても過言ではありません。