比良山荘の伝統と革新を支えるのが、三代目当主であり料理人の伊藤剛志氏だ。山に入り、地元の猟師や生産者と深い信頼関係を築き上げることで、最高の状態の食材のみを手に入れる。山の恵みに対する妥協なき眼差しと深い敬意こそが、彼の料理の根幹にある。
格式高い伝統的な日本料理の技法をベースに置きながら、野生の力強さを秘めたジビエ料理をいかにして美しく洗練された皿へと昇華させるか。伊藤氏の研ぎ澄まされた感性は、器の選定から盛り付け、香りの立ち上がりに至るまで惜しみなく注がれている。素材が持つ潜在能力を極限まで引き出す手腕は、まさに芸術の領域だ。