糸師冴という男は、作品における絶対的なアイコンだ。世界最高峰のクラブ下部組織で揉まれ、「日本サッカーを蔑視する」ほどの冷徹さと、それを裏付ける圧倒的技術を持つ。実写や舞台でこの役に命を吹き込むことは、どんな俳優にとっても極めて高いハードルとなる。生半可なオーラでは、キャラクターの持つ圧倒的な威圧感に負けてしまうからだ。
しかし、西垣匠は違った。舞台に立った彼の第一声、そして緩急あふれるステップの美しさに、観客は息を呑んだ。鋭い眼光と静寂をまとった立ち姿は、まさに原作から抜け出てきた天才そのもの。SNSや劇評では「冴そのものがそこにいる」「冷たさの中に潜む圧倒的なサッカーへのプライドが伝わってくる」と熱狂的な言葉が飛び交った。