「あの人は気の置けない人物だから」と上司や取引先に言われた時、あなたはどんな感情を抱くだろうか。「警戒すべき怪しい人物」と受け取ったなら、それは明確な誤用だ。本来の語義において、「気の置けない」とは「気を置く(気遣いをする・遠慮する)必要がない」という構造を持っている。つまり「遠慮がいらない」「心から打ち解けられる」親しい間柄を指す言葉なのだ。
恥をかく前に知っておきたいのは、この語が持つ圧倒的なポジティブさである。褒め言葉として「気の置けない仲間」と表現したつもりが、受け手が誤解していると「信用できない奴だと思われている」と捉えられかねない。誤用の落とし穴は、まさにこの心理的ギャップに潜んでいる。