演出面において最も深刻な議論を呼んでいるのが、「感動ポルノ(Inspiration porn)」批判です。この言葉は、障害を持つ人々を「健常者を感動させるための道具」として消費するメディアの姿勢を告発したオーストラリアの障害者運動家ステラ・ヤング氏の提唱によって広まりました。
2016年には、NHK Eテレの福祉番組『バリバラ』が『24時間テレビ』の真裏で「検証!『感動ポルノ』〜障害者は『感動』の押し売りをどう思っているのか〜」という生放送を敢行し、大きな話題を呼びました。
視聴者や当事者から寄せられる主な批判は以下の通りです。
- 障害者が何かに挑戦し、苦難を乗り越える姿をドラマチックなBGMや涙を誘うナレーションで過剰に演出する点
- 「健気で純粋な障害者」というステレオタイプを固定化させ、日常的な生きづらさや社会保障の構造的問題から目を逸らさせている点
- 健常者が上から目線で「勇気をもらった」と自己満足するためのコンテンツになっている点
多様性と包摂(インクルージョン)が重視される現代において、旧態依然とした「お涙頂戴」のフォーマットは、視聴者に強い居心地の悪さを与える要因となっています。