メタボリックシンドロームの真の恐ろしさは、個々の数値の異常そのものよりも、それらが連鎖して重篤な致死的疾患へと突き進む「メタボリックドミノ」と呼ばれる現象にあります。
ドミノの最上流、すなわち最初の1枚目に倒れるのが「内臓脂肪の過剰蓄積(腹囲85cm超)」です。内臓脂肪細胞が肥大化すると、血管を保護する善玉ホルモン「アディポネクチン」の分泌が激減し、逆に血圧を上昇させインスリンの働きを邪魔する悪玉物質が大量に放出されます。これが引き金となり、インスリン抵抗性、高血糖、高血圧、脂質異常症という第2段階のドミノが一気に倒れます。
これらを「まだ自覚症状がないから」と数年間放置すると、ドミノの下流へと連鎖が進み、全身の血管で動脈硬化が静かに進行します。最終段階では心筋梗塞、脳卒中、人工透析を要する糖尿病性腎症、失明、認知症といった取り返しのつかない重度障害へと雪崩を打って倒れ込みます。ドミノを食い止める唯一にして最大のチャンスは、最上流にある「腹囲85cm」の段階で手を打つことなのです。